リフレーム・カウンセリング ルーム 心理セラピストのblog

リフレーム・カウンセリングルーム 心理セラピスト/スクールカウンセラー 平野 なおみ のBlogです。 日々のことや「ココロとカラダのケア」についてを、「分かりやすい言葉」で「私 自身が楽しんで!」 をモットーに綴っています。【2022年HPの開設と共にブログをお引越ししました】

タグ:ネグレクト

優は、両親のおかしな言動に「またか・・・」と感じていた。

彼女は小学4年生。


昨日の放課後。

児童玄関前で友人達とお喋りしていると、いつもの男子がからかいの言葉と様子で

いつもの煽りをしてきていた。

なんか、いつも あ~なんだよね・・・なんでなんだろう・・・まさと君って。


優たちは、そう話してから気にせずにお喋りを続けていたが

まさと君は、ひとりからかいの言葉を大声でこちらに向け続け

ピッチング ポーズでこちらに投球のポーズを続けてくる。


うるさいな~・・・バッカみたいだよね!

優たち女子にはそう見えていた。


優は近くに落ちていた少し太めの木の枝を、まさとの方に投げた。


こないだの台風で木が倒れた時のもの。


もちろん、まさとには当たらないように!だ。

まさとに当たっていない事も、もちろん優はその目で確認済みである。


それから暫くして、その日は解散。

みんなそれぞれ帰路についた。



まさと君って先生の子どもなのに、なんだかいつもあんな風だよな・・・。

なんでだなんだろう?

まっ、別にいいけど、と話し終えてその日は解散。


翌日、学校に行くとまさとが手首に包帯を巻いていた。

病院に行ったらしい。

優は「えっ?」っと思ったが、どこかで怪我でもしたのかな

位にしか思わなかった。



いつもはうるさい、まさとも今日は何にも言ってこなかった。


次の休み時間に、2つ上の女子が優に話しかけてきた。

この人は学校中、地域の事はなんでも把握している、

優の母に言わせれば「大人の話をなんでも聞いているませている子」であった。


「まさと君、昨日、優ちゃんに木を投げられて怪我したみたいだけど本当?」



優は、固まった。

2つ上の噂好きのこの人に話しかけられた事じたいもそうだが

そんなことはあるわけがない。

だって昨日、木の枝が当たっていないのはこの目で確認済みだもの。



まさと君はプリプリしていて今日は何も話してこない。


「自分で怪我してそれを私にやられたと親に言ったんだろうか?」


優は2つ上の人にも、まさと君にも何も言えなかったし確認もしなかった。

できなかった。


昨日、一緒にいた女子たちは驚き

「大変な事をしてしまったとされる」優に対して微かに、そして確かに避ける姿勢を取った。


担任でもないひとりの女の先生が、優に木の枝を投げたのか?確認に来た。

優は、投げたけれども当たっていない事を伝えたが

女性教師は疑いの眼差しで「ふ~ん」と言って去っていった。

いつも口うるさいあの先生、どう思ったかな?


優はこういう場面でうまく言葉が出て来ない傾向の自覚がある。

「挙動不審と自分で思い込んでいる心の中」が他者にはどう映っているのか?が気になったが

その日は頑張って思いを伝えたつもりだ。


2つ上の学年の人たちや、学校中がその日はその大事件で騒然となっているように優には感じられ

一日、学校でひとりモヤモヤと不安を抱えながら

優は何も考えられずにその日を過ごした。



そして実際、その事は学校の中では大事件となった。



一緒だった女子も庇ってくれる訳でもなかったように思う。

見えていなかったのかな・・・?



学校から帰る頃には、自信があった「まさと君にはあたっていない」が

「見えていない所で当たったのかもしれない?」

「ワンバウンドして当たったのか?」

と優の自信は不安へとジェットコースターにように変化していた。


ワンバウンドなんてしないであろうに。



優は重い気持ちのまま帰宅した。

家に着いてもひとり重い気持ちのまま過ごした。

優は親に自分の事は話さない。


親にとって自分は興味のない存在だと、とうにわかっていた。


いつも忙しかった共働きの両親。

いわゆる今でいう所の情緒的なネグレクト(育児放棄)。


両親も故意にではないとしても

優は、「自分の気持ちを安心して話せる安全な大人」を

残念ながら持たずに育った。



電話がなり、母が驚き、誰かに謝っているのは気配で気付けた。

優は勘がいい。

そして優の直感通りに、母がやってきてこう聞かれた。

聴かれたというよりも言われた。


「まさと君に怪我させたんだって?」


優は、やっぱりか・・・と思いながらも

自分は木の枝を投げたけれども、ちゃんと当たらないように投げたこと、

うるさいまさとに、ちょっと威嚇の真似事をしただけであること、

そして、手には当たっていない事もこの目で確認した事を母に伝えた。


母は、怒りの表情で

当たらないようにであっても、そんなことはしたらだめな事

じゃ、なんでお前に怪我させられたとまさと君は言っているのか?

と詰問した。



優はやっぱりな・・・

と思った。

これはいつものことだ。


自分の話は聴いてもらえないし、母は自分の事よりも誰かの話を信じるであろうことを

優は理解していた。



信じてもらえない悲しみを、うまく感じられないように

自分をマヒさせる術を優はとっくに体得していた。


誰にも教えられぬままに、習得して

心(感情)と身体が繋がっていない、バラバラである自分にも

とっくに慣れていた。





自分の悲しみの感情をいちいち感じていたら

この家では辛くて生き残れないから。




大型台風が去り、青空が広がる秋の日

優が大好きな紅葉の木は、乾燥した空気の中で今年も燃えるように色付いていた。







つづく



信じてもらえないことの悲しみ  →  ★http://refreme.blog.jp/archives/54366181.html












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こんばんは、

リフレーム・カウンセリングルームの平野 直美です。

今朝はこちら ↓ が咲いていました^^






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ピンクと紫色の芝桜と、あやめでしょうか… 綺麗~


この時期、ついつい花だらけの投稿になってしまう私です(笑)


生命が動き出す季節!という感じがして

とってもパワーを貰えます。





さてさて、

先日の札幌滞在では、お仕事をさせていただく事と

学びもしてきました。


今回の学びのテーマは

~子どもへの虐待~
身体的、精神的、性的虐待
そして、育児放棄というネグレクト


(その他にもたくさんのテーマがあったのですが)




ここ最近、私が感じていることは

「虐待」というと、今の日本での一般的な捉え方として

子どもが骨折や大怪我をするまで殴る、蹴る、

子どもが死亡してしまった…


レベルまでいかなくては、「虐待だ」と

認識されにくい…のか、と感じるエピソードがありました。



もちろん、

大怪我や、死亡に至ってしまう前に、なんとか手を打てなかったのか…

と、新聞報道などを見る度に ひとりの母親として

ガタガタと崩れてしまいたい程に、心が痛みます。


同時に、ここまでいかなければ虐待とは

考えない、捉えない方々が大勢存在する事も

とても感じています。


今までの活動の中で、散々発信してきているつもりですが

今後もセラピストの役割のひとつとして

受信と発信をし続けていきたいと思います。



身体的虐待は、ある意味見付けやすいのかもしれません。

目で見ることができますから。

服に隠れて、見えない部分のアザなどは

身体測定や、体育、部活動の着替えの時に

見かけた…気になった人が誰か信頼できる

大人に相談してみて欲しいです。


大人の私たちは、是非子どもたちが

「信頼できる大人」と感じられるような大人でいたいですね。

私たち、大人のひとりひとりが

周りにいる子どもたちと

子育てや人生そのものに苦しんでいるかもしれない母親たちに、「関心という愛」を

向けられる社会になっていくといいですね。

アメリカでは、虐待の可能性を知った大人が

通報しなくては、その大人が罰せられます。

州によっては、知ってから何十時間以内に通報しなければならない、

という明確な規定を設けている州もあるそうです。

日本は、アメリカほど厳しくはありませんが

もし、間違っていてもいいので

なにかおかしい…と感じた場合は

勇気を持って行動できるといいですね。

その勇気がもしかしたら誰かの

命やこころ・いま・未来を守ることに繋がるかもしれませんから。



「虐待はどこの家庭でも起こりうる身近な病理」

「いかに家庭は危険な場所であるか」ということは

また、書いていきたいと思います。





それでは、おやすみなさい








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